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ラジオで怪談を聴く魅力【白田まもる】

  • kazarashiromeshi
  • 2023年8月25日
  • 読了時間: 4分

どうもこんにちは。白田まもるです。

すみません、今回めちゃくちゃ手短に終わります。許してください。生放送前に書いていますので……

さて。夏も終わりに近づいてきましたが、皆さんはこの夏、ホラー作品に触れましたか?

夏の夜にふとテレビをつけたら、本当にあった怖い話を見てしまって寝れなくなった……なんて体験は、皆さんもどこかしらで経験されていると思います。自分もその中の一人です。

もうこの年になると、極度の怖がりだった自分でも、ホラーコンテンツを楽しめるようになってきました。「怖いもの見たさ」というやつです。

なのでこの夏は、TVerで現在配信中の『何かおかしい』という、ホラー作家の雨穴さんが脚本・監修を担当しているホラードラマを見まくっていました。


ラジオでも数々の放送局が怪談特集を組んでいて、なかなか面白かったです。


その中で特筆したい番組は、8月13日に放送されたFM802の『802 BINTANG GARDEN』より『イヤホンで聴く奇妙な話』。

8月13日の怪談の日の夜に、FM802--いえ、FM八零弐から放送された、ラジオならではの面白さがぎゅっと詰まった怪談番組です。


この番組の面白かったところは、「イヤホンを両耳につけることを強く推奨されるところ」でした。

いわゆるステレオサウンドならではの良さを余すところなく使い、3人の語り手と1人のナビゲーターと共に、1時間のゾクッとする時間を楽しむことができます。


怪談の語り手の声に直接編集を加えているのが面白かったです。

やはり映像が無い分、耳だけで聴く怪談と言うものはどうしても集中力が切れやすいものでして。

(実際、私も他の局で放送されていた怪談の朗読などは、最後まで集中力を継続して聴けた怪談は一本もありませんでした)


電話越しの声には、本当に電話口から聴こえているかのようにノイズをかける。

雨の中のシーンの間は、夜に降るような細かく冷たい雨の音をナレーション部分にまで流す。

語り手が「助けて」と言った部分だけ、音声を2トーンほど下げる編集を加えて、まるで幽霊が背後から言ってきたような不気味な声に変える。


『イヤホンで聴く奇妙な話』には、上記のような、リスナーを細かいポイントでぐっと引き込む技が多くちりばめられていて、怪談の怖さがより引き立っていました。


FM802は普段から音にこだわった放送をするためでしょうか、この『イヤホンで聴く奇妙な話』は、FM802の音にこだわる姿勢が存分に詰まった番組になっていてすごく面白かったです。

来年も放送してほしいです。今から次の夏がとても楽しみです。

実は私がスタッフに入っている番組、土イチでmuch-on!でも、今年公開のホラー番組『ミンナのウタ』にちなんだ放送をさせていただいたことがあります。


あちらの映画、ラジオCMもかなり怖いんです。

聴いたことがある方はいるでしょうか?

前に一人でラジオを聴いていた時、急にそのCMが流れてきてびっくりしたことがあります。


内容としては、劇中に登場する『呪いのカセットテープ』に録音された歌を急に流し、「大変申し訳ありません。この歌を口ずさんだ方は――。」というアナウンスが入って……という感じです。なかなか良くできたCMだと思います。

静かに恐怖をあおるというかなり高度なものを見事に15秒ほどのCMにきれいに詰めつつ、しっかりと映画のことも頭に残る、映画のことがじんわりと気になりだす……。かなり怖がりの方は、ラジオを聴き続けながらも「あれは何だったんだろう……また流れてくるんじゃないかな……?」と気になって仕方なくなるでしょう。


「じんわり怖い」というのは、ラジオで怪談を行うことにおいて一つのキーワードになると思います。

元々ラジオというものは耳から流れてくる情報を基に、頭の中で映像を補填させて楽しむものですので。


この話、次に何が起こるんだろう。

あれ、さっき流れたこの音って何?

後ろの方で流れてるこの音は……?


そうやって、数少ない情報を頼りに映像を補填させていきます。


それに加えてもう一つ、怪談を『聴く』ことにおいての強みとしてあるのは、頭の中の方が、実際のものよりも数倍怖いものを作り出すことがほとんどであることです。

皆さんも、何も出てこないと頭では分かっているのに、「カーテンの向こうに誰かいるんじゃないか」という想像に身を震わせた経験はありませんか?

情報が制限されているとき、人間はその数少ない情報を脳内で組み上げ、できるかぎり「悪い想像」をします。

これは私の想像の範疇ですが、おそらくここには防衛本能が働いているのではないかと思います。事前に予測しておくことで、どんな事態が起こっても驚くリスクを極限まで減らすためです(ホラー作品と対峙することにおいては、この機能は自分の首を絞めているだけにすぎませんがね)。


映像でホラー作品を見るのと、怪談を耳で聴くのとの後味の微妙な違いは、ここからきているのではないかと自分は思います。


人間の感覚情報は、視覚が82%、聴覚が11%、その他感覚が7%だと言われています。

たった11%しかない聴覚情報で、十分背筋が冷える体験ができるんだな、と驚きました。


今年の夏はまだもう少しあります。

どうぞ両耳にイヤホンをつけて、怪談ラジオの世界をお楽しみください。

11%の聴覚は、あなたを「実寸大の恐怖」の世界へと連れて行ってくれると思います。






後ろは振り向かないでくださいね。


白田まもる


 
 
 

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