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SNSでの広報を深く考えてみる【白田まもる】

  • kazarashiromeshi
  • 2023年11月24日
  • 読了時間: 14分

白田まもるです。


いきなりで申し訳ないのですが、自分が前々からラジオ番組・放送局に対して思っていたことがあります。 それは「あまりにもSNSを軽視しすぎではないか」ということです。


SNSでただ番組の情報を流すだけではいけないことはわかっていると思うんです。なぜなら私が声を大にして言わなくても、ラジオ文化が下火になっていることがそれを嫌でも物語っているからです。

それでも多くの番組は「放送の内容自体があまり面白くないんだろう」で話を終わらせてしまっています。その可能性もあることにはありますが、「そもそもリスナーになってほしい人たちに番組自体が認知されていない」という場合もあります。 過去に一度でも「この番組、聴いてみたらめっちゃ面白いけど、なんで今まで知らなかったんだろう?」と思ったことはありませんか?


つまり、認知度を上げる方法を探っていけば多少なりともリスナーを増やす手立てになる可能性があるということです。

それでは今回は、ラジオ番組の広報にとっていかにSNSが重要かについて、自分なりの考えを書いていこうかなと思います。

これを読んでいる方でもしラジオリスナーの方がいたら、好きなラジオ番組を一つ思い浮かべてみてください。

ワイド番組、30分や15分の番組、芸人さんの番組、アニラジ、音楽番組など様々あると思います。どんなものでも構いません。パッと思い浮かんだ番組でもいいです。


それでは、思い浮かべた番組の1つ前と1つ後の番組の名前を言えますか?


お目当ての番組を聴く流れで前後の番組をギリギリ把握していたとしても、2つ前と2つ後ろの番組はわかりますか?

言える方と言えない方がいると思いますが、言えない方の割合の方がきっと高いです。


これは特に、radikoを利用して番組を聴いている方に多い傾向にあると考えられます。


なぜかというと、radikoは「番組を選んで聴くこと」が大きな使い方になるアプリだからです。

聴きたい番組を検索して再生するか、聴きたい番組のSNSアカウントが発信しているリンクをそのまま踏んで聴くか…という形になっていると思います。

聴きたいものを選ぶという点においてはradikoがYoutubeなどのネット動画配信サイトとほぼ同じ使い方ができること。そして、全国の番組を聴けるエリアフリー機能があることで選択の幅が大きく広がったこと。時間を選ばずに番組を再生・聴取できるようになったこと。他にも理由があると思いますが、radikoの出現によって、1つの放送局を何十時間もつけっぱなしにして聴くという人は少なくなったのではないでしょうか。

実際私も、MP3でラジオを聴いていた時期とは打って変わり、現在は番組を選り好みして聴いています。


選り好みをして聴くために、自分が認知していない番組を耳にすることがない、ということです。


そして、「番組がそもそも認知されていない」ということがどういったことなのかがピンときていないのは、世代による認識のズレがそうさせているのかなと思います。


私がいろんな大人と話していると、ラジオやテレビに小さいころから慣れ親しんだ世代は「ラジオ・テレビは流したままにしておくもの」という認識が強い方が多いということがわかりました。今の制作側のほとんどはこの世代の方です。


しかし、ネットを主に使う世代にとっては「ラジオ・テレビは番組を選んで聴いたり見たりするもの」という認識が一般的です。 この認識のズレが大きなカギとなっていると感じます。


今までは、面白い番組を作ることに専念すれば、自然とリスナーの耳に入ってくるという状態だったのだと思います。ラジオをつけたまま流していると、たとえ聴いている意識はなくともとりあえずは耳に入っているため、自分にとって興味のあるなしを聴きながら判別し、そこからその番組を認知してリスナーになるきっかけをつかむことができます。


しかし、ずっと一つの放送局を流さない人にとってはどうなるでしょうか。聴きたい番組が終わればラジオを止めるので、ラジオから情報を入手できる時間が狭く明確に決まっています。そのため、仮に自分好みの番組が別の時間に流れていたとしても、耳にすることはありません。


そうなれば、番組の情報を得るのは主にSNSということになります。

番組・放送局のSNSアカウントをフォローしたり、SNSでつながっているラジオリスナーたちの口コミを見たり、そんな方法で自分の好みに合った番組を探し、認知をしていくことがほとんどです。それなのに、SNSでの情報が不十分であるため、存在自体が認知できないということが多く起こっています。

本来であればリスナーになっていた人のところにまで番組の存在が届かない。

それが積み重なっていったことにより、年齢が下の方になっていくにつれてラジオリスナーの割合が減っていくことにつながったと思います。


つまり、SNSを利用せずただラジオで放送をしているため、radikoを主に使う人やデジタルネイティブ世代には番組の存在が届きにくいことが問題である、ということです。


はっきり言いますが、「ただ面白い番組を作れば今後も大丈夫」という時代はもう終わっています。

コンテンツ消費者のスタイルについてこられないコンテンツは簡単に切られていくのが現状です。


なのでSNSでの発信を利用して、番組の認知度を上げていくことが非常に大事なんです!!


……と言うだけであれば、ラジオはとっくに動画配信サービスと並ぶ人気を獲得できていると思うので。 私の方から改善案を3つ考えました。

(実際に研究をした上での確実な改善方法というものではないので、あくまでも個人の考えを基にした改善案という形で読んでください)


1.明瞭かつ高頻度・継続的なSNSでの告知


放送前に「放送が〇日にあります!聴いてね!(radikoのリンク)」という告知をSNSで発信する。

ほとんどの番組がやっていることですね。 ですが、ちゃんとできている番組が意外と少ないです。


人の目を向ける時はそれなりに技術やSNSのアルゴリズムの理解が必要になってきます。それが理解できていないままで情報を出しているため、「拡散力を持たないものをただネットの広大な海に流しているだけ」の段階で止まってしまうことがほとんどです。

そしてあまりにも、SNSを意識していない番組・放送局ばかりであるため、ひどいときは、毎週放送がある番組のはずなのに年に何回かしか告知情報がSNSで出ない、なんてこともあります。(放送局がどこもキャパいのはわかるのですが!)


ただ番組の基本情報を流して「聴いてね!」と言えばいい、というわけでもないところがSNSの難しいところです。

投稿内容はもちろんなのですが、今回は「特に時間帯に気をつけることに目を向けてほしい」ということにしぼって話そうかなと思います。


・放送の1週間前

・放送のおよそ12~4時間前

 (理想は、スマホを見ていることが最も多いとされる時間帯18~0時[※日本マーケティングリサーチ機構(東京都新宿区)の調査による]のどこかで番組アカウントをフォローしている人間すべてが投稿を見られるようにする)

放送後(radikoやPodcastのアーカイブリンク)


以上の、最低3回は番組の情報を発信すると良いのではないかと思います。


リスナーからのメッセージを募集する場合は、ここにまた追加してこまめにメールを求める投稿を行う(リポストのみでもOK)が必要となってきます。リスナーがメールを書いて送る時間を逆算して投稿時間を考えるとより効果的です。


そして、リアルタイムで番組アカウントから放送の様子を届けることも大事です。

番組の感想を書き込む番組専用のハッシュタグを使うことによって、SNSをリスナー同士、リスナーと番組のコミュニケーションの場にしてしまうとかなりいいです。


リスナーと一緒になって、番組アカウントが放送中にどんどん投稿をしていくと、リスナーに親近感を持ってもらいやすくなるだけでなく、放送を聴いていないフォロワーにも「今、放送をしています」ということを見せることができ、番組に意識を向けてもらいやすくなります。さらに、スタジオの様子、ゲストの補足情報、さらにパーソナリティのオフショットなど、ラジオだけでは届けきれない画での面白さを、SNSを使えばリアルタイムでリスナーに届けることができることも魅力だと思います。


自分は特に、フワちゃんのANN0の番組アカウントがすごく面白いなと思います。画像の全てを説明しきるのではなく、ただ一言をつけ足して載せる。これが何なのか、これについてフワちゃんはどんな反応をしたのか、それは放送を聴いてください……という、放送本編を聴きたくなる仕組みにもなっています。


番組アカウントを多く動かすことは番組側に大きな負担がかかってしまうことではありますが、こまめな発信を心がけることは非常に大事です。

先ほど私は「ラジオをずっと流し続けないため、基本的に自分の知らない番組を聴くことはない」と言いましたが、過去にラジオがただ面白い番組を作って流していただけでその番組自体にリスナーが自然とついていくという流れを、今度はSNS上で作ればいいだけなんです。各SNSのアルゴリズムに則って番組の情報を積極的かつ効果的に流すことで、SNS上で多くの人に番組を認知してもらい、そこから番組を聴いてリスナーになってもらう…ということで。いかにSNSからラジオに引き込んでいける導線を作れるかということが重要となってきます。


SNSでの発信一つ一つに気を使うだけでも、リスナーの目に届きやすくなって番組を認知してもらいやすくなると思います。


2.SNSでのプレゼント企画


1と同様に、多くのラジオ番組・放送局が既に行っている、SNSを利用した番組広報です。

「番組アカウントをフォロー+リポスト・引用リポスト」などの条件でリスナーをプレゼント企画に参加させることで、リスナーのアカウントをフォローしている人に番組の情報を知ってもらいやすく、そこから番組に興味を持ってもらうことができます。

プレゼントが絡んでいるため、拡散力も強まります。一番手軽で効果の大きい宣伝方法です。


ただしこれには欠点があります。 それは、きちんとした広報の効果が必ずしも出るわけではないという点です。


特にデジタルネイティブ世代に多い傾向にありますが、フォロワー0の『プレゼント企画応募専用アカウント』を持っていて、そのアカウントを使って応募をする、というケースがあります。これが非常にマズいです。


自分のフォロワーにとって興味のない情報をタイムラインに流してしまうことの申し訳なさやプレゼント企画に応募していることが人にバレることの気恥ずかしさなどから、誰にも迷惑がかからない・見られないように、応募専用アカウントを作って企画に応募するんです。そんな面倒なことを本当に?と思う方もいるかもしれませんが、これは本当にある話で、アカウントを何個でも気軽に作れることによりアカウントの住み分け化が進んできたからこそ起こっている現象です。


応募専用アカウントでは誰かとつながることを目的としていない=誰もフォローをしていません。そのため、アカウントの持ち主が企画の趣旨に従って番組SNSを拡散しても、番組を知らない人の目に留まることはないということになります。これでは、リポストでのプレゼント企画による宣伝効果は生まれないことになります。


こういったケースは今後、もっと増えてくると思います。 ですので、この方法には注意が必要となってきます。


3.radikoのサムネイルづくりに力を入れる


SNSでの…とは少し違う気もしますが、「番組の情報をリスナーが得る足掛かり」としては大事な要素なのであえて取り挙げました。

radikoを開くと、ネット動画配信サイトと同じような感じで配信時刻もしくは番組ジャンルにあわせてサムネイルがずらっと並んでいる画面が見られると思います。

このサムネイル、かなり見落とされがちなのですが、私としては非常に重要だと思っています。


TVerなどをインストールしている方は実際に開いて画面を見てほしいのですが、同じようにサムネイルがずらっと並んでいます。 しかし、radikoで配信されている多くの番組とは明らかに違う点があります。それはサムネイルの情報量です。


TVerで配信されている番組、特にバラエティのサムネイルはかなり情報が詰まっているものが多いです。

番組タイトルロゴや出演者の顔、その時の番組企画など、まるで一定の人気があるYoutuberが作るような完成度です。パッとサムネイルを見るだけで「あ、この番組はこういうものを発信しているんだな」とわかるものが多いです。

ドラマでも、バラエティよりは数が少ないですが、サムネイル自体にタイトルや話数、アオリをきちんと記載している番組があります。

(逆に文字を何も載せないことで番組の雰囲気をノイズなく視聴者に伝えているサムネイルもありますが、それはテレビ特有の画の綺麗さと話ごとに切り取る画が違うことが成せる業です。radikoで同じことをするのはあまりにも危険です)


そういった番組のほとんどはかなりのいいねがついて(=端的に考えれば、多く再生されて)います。

なぜかというと、事前に番組の情報をある程度開示することで、再生に対するハードルを下げているためです。サムネイルを見せることで、自分が今見たい・聴きたい・気になるコンテンツなのかを、視聴者に判断させやすくします。それによって「再生をしてみる」ことへのハードルを下げます。

ネタバレを事前に見てから本編を見るかどうか決めるという人も10代を中心に多く出てきている昨今、コンテンツに触れてから面白いか面白くないかがわかる、という賭けをすることを避けるような流れにだんだんなってきています。アタリハズレがわからないスロットのような感覚で番組を再生できる人なんかはほんの一部だと思った方がいいです。情報を出さない番組は、「見るか決める」という土俵にすら立たせてもらえなくなってきました。


そのため、「これはこんなコンテンツです」という情報をある程度サムネイルによって伝えることが必要となってきます。


サムネイルを作りこむことがどれほど重要かという話は、動画配信サイトのサムネイルを眺めていてもわかります。

再生回数が多い動画ほど、サムネイルに力が入っています。

SNSにおいても、Instagramなどの画像が中心のものにおいてはサムネイル(1枚目の画像)をいかに作りこむかで伸び方が変わってきます。(この話はまた長くなるのでまたの機会に。)


radikoはラジオを聴くアプリでありますが、デジタルデバイスを利用している時点で、ユーザーが情報をキャッチするアルゴリズムはネット動画配信サイトに近いと考えられます。

そのため、サムネイルをいかに作りこむかという問題は今や避けて考えることはできないと思います。


しかし実際は、ただ番組・放送局のロゴをポンッと置いただけの簡素なサムネイルで済ませてしまっている番組が異常なほどに多いです。ひどいときは、放送局のロゴのサムネイルが連続して並んでいるけれど全部違う番組です、というケースもあります。(特に地方局に多い傾向があります)


サムネイルでリスナーの興味を引き付けることはできるのに、そのチャンスを逃してしまっている番組が多いです。

これでは、radikoの画面を眺めているリスナーにも、番組に興味を持ってもらいにくいです。とてももったいないことです。


具体的には

・番組タイトル、ロゴ

・パーソナリティ

・番組のコンセプトがわかりやすいデザイン

この点に気をつけてサムネイルを作ると、リスナーに興味を持ってもらいやすくなると考えられます。


ここに番組概要や、番組の専用タグ、メールアドレスなどを載せている番組もあります。

作りこみがしっかりしているサムネイルは目を惹くので、ここを変えるだけでもだいぶ変わるのでは!?と私としては思っています。


radikoにおいてのサムネイルは、1つの番組に原則1枚のみです。

たった1枚のサムネイルなのですから、番組にあわせた良いサムネイルを作ればいいのになぁ……と、いつも残念に思っています。


ここまで書いた3つの改善案は、あくまで白田個人が考える案(仮説)なので、実際にやってみたら効果がなかった!という場合もでてくると思います。ここまで偉そうに書いておいて、と思われるかもしれませんが、あくまで参考程度に……という話です。

でも、何かしらで検証してみたいですね。(サムネイルのことだけでも…。)


最後になりますが、SNSに関するくわしい話をしている面白い番組がありますので紹介します!


◎バズTikナイト(bayfm78 毎週日曜25:00~25:30)

 (新しいタブを開きます)


映画コメンテーター有村 昆さんと、現役医大生でありながらも会社を立ち上げてSNSのコンサル、運用代行事業を行う九島遼大さん、タレントの井口綾子さんの3人がパーソナリティの番組です。より現代SNSにせまった面白い話を聴くことができます。

私は特に、九島さんの鋭すぎる考察が聴いていて特に楽しいなと感じます。

SNSにあまり詳しくない方でも、SNSを日常的に使用している方でも、それぞれの視点で楽しむことができる番組です。ぜひ。


今後の世代にラジオをつなげていくのであれば、SNSにしっかりと向き合わなければいけなくなってきます。

そこの危機感を持たなければ、ラジオはどんどん衰退し、いつしか存在するだけのメディアとなっていってしまうかもしれないのにな~。


そんなことを考えながら、今日もradikoのアプリを開いています。


白田まもる



 
 
 

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